建築工事一式とは?意味・範囲・選び方を解説

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皆さんこんにちは。宮城県仙台市を拠点に、店舗建築や戸建新築、マンションリノベーション等を手掛けているアート株式会社です。


建築工事一式とは何か、という問いに明確に答えられる方は意外と少ないかもしれません。建築工事の発注や施工を検討する際、「一式」という言葉の意味や範囲、さらには「専門工事」との違いに疑問を持つ方は多く、内容の不明確さが判断や手続きの不安につながるケースもあります。建築工事一式には、設計から施工、管理までを含む総合的な業務が該当し、発注者にとって非常に重要な判断材料となります。また、建設業法や国土交通省の定義に基づく分類、許可制度の理解も必要不可欠です。


本記事では、「建築工事一式とは」という基本の定義から、建設一式工事と専門工事の違い、許可区分や業者の選び方、発注時の注意点までをわかりやすく解説します。初めて建築工事を依頼する方でも安心して読み進められるよう、用語の解説と実例を交え、図解を用いた構成でご案内いたします。建築工事に関わるすべての方にとって、有益で信頼できる情報となるよう心がけておりますので、ぜひ最後までご覧ください。


建築工事一式とは?

「一式」ってなに?初心者でもわかる基本の定義

「建築工事一式」とは、建築物の建設に必要な複数の工種を総合的に取りまとめて請け負う工事のことを指します。たとえば、新築工事では、基礎工事・木工事・屋根工事・内装工事など多種多様な専門工事が必要になりますが、それらを一括で管理・実行するのが「一式工事」です。つまり、個別の専門工事ではなく、建築全体の計画、工程、品質、安全を一元的に管理する役割を担うのが建築工事一式です。施工範囲の明確化、費用や工期の調整、関係業者の指導・調整なども含まれるため、発注者側にとっても非常に利便性が高い工事形態といえます。建設業法上も「建設一式工事」という分類が設けられ、専門工事と明確に区別されています。


なぜ「建築工事一式」が重要なのか?

建築工事一式が重要とされる理由は、その総合的な対応力にあります。建設工事は、構造、設備、デザイン、安全基準など、多方面の知識と技術が必要となる複雑な業務です。一式工事の許可を持つ業者は、これらの要素を統括し、全体の調整を行う体制と能力を備えています。発注者は、複数の専門業者を個別に手配する手間を省けるだけでなく、品質や工程のバラつきを抑えることが可能になります。また、一定の金額や規模を超える建築工事では、建設業の許可が法律上必要とされており、「建築一式工事業」としての登録・許可を受けた業者しか施工を請け負えません。このように、建築工事一式は、法的根拠と実務上の必要性を兼ね備えた重要な工事区分なのです。




建築工事一式の範囲と特徴

一式に含まれる主な業務とは?

建築工事一式には、住宅やビルなどの新築工事をはじめ、既存建築物の増改築工事も含まれます。これらの工事は単一の作業に限定されず、外壁工事、内装工事、屋根工事など複数の専門工種を統合しながら、全体を一体的に管理・施工する業務となります。たとえば鉄筋コンクリート造の建物であれば、構造物の基礎工事や鉄骨の組立に加えて、管工事(給排水・空調などの設備配管)も重要な要素です。加えて、大工工事や設備設置といった内部工事までを総合的に取り扱う点が特徴です。建築工事一式とは、こうした複数の工種を一括で請け負い、全体の品質・工程・安全を一元管理する業務を指します。


建築工事業の区分と許可の種類(一般建設業と特定建設業)

建築工事一式を請け負うには、建設業法に基づいた許可の取得が必要です。許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があり、受注する工事の内容や金額によって区分されます。特定建設業は、下請契約の総額が一定金額(現行では4,000万円以上の建築工事)を超える場合に必要となり、一定の資産要件や実務経験、専任技術者の配置が求められます。一方、一般建設業は小規模な工事や軽微な下請契約に該当する工事を対象とし、要件は特定建設業よりも緩やかです。いずれの許可も、都道府県または国土交通大臣への申請が必要であり、建設業者としての信頼性や法的適格性を証明する重要な手続きとなります。



建設一式工事と専門工事の違いとは?

国交省・建設業法に基づく違いと分類

建設一式工事と専門工事の違いは、国土交通省が定める「建設業法」によって明確に分類されています。建設一式工事とは、複数の専門工事を総合的に管理・調整しながら完成を目指す工事形態であり、主に「建築一式工事」と「土木一式工事」に分類されます。これらは単独の工種にとどまらず、設計、施工、工程管理などの総合的な能力が求められます。

一方、専門工事は「内装仕上工事」「電気工事」「管工事」など、特定の工種に特化した業務を指します。建設業法では、それぞれの工事区分に応じた許可申請が必要とされており、許可権限は都道府県知事または国土交通大臣にあります。許可を得るためには、行政書士など専門家の支援を受け、技術者の配置や実務経験の証明など、厳格な条件を満たす必要があります。


「専門工事」とは何か?どこまでを任せられるのか?

専門工事とは、特定分野に特化した技術を用いて実施される工事であり、建築全体の一部を構成する業務です。代表的な例として、塗装工事、電気工事、解体工事、コンクリート工事、機械設備の設置工事などが挙げられます。これらの工事は「軽微な工事」以外であれば、原則として建設業許可が必要です。専門業者に委託する場合は、当該分野における技術力、施工実績、許可の有無を十分に確認する必要があります。

また、専門工事はあくまでも限定された範囲の作業を担うものであり、複数の専門工事を統括する「一式工事」のような管理能力や調整権限は基本的に持ちません。そのため、全体管理が求められる場合は、建設一式工事の許可を持つ元請業者を選定し、専門工事業者との役割分担を明確にすることが重要です。


建築工事業者を選ぶときの判断ポイント

専任技術者や建築施工管理技士の有無】

建築工事業者を選定する際には、専任技術者や建築施工管理技士などの資格者の有無が重要な判断基準となります。専任技術者とは、建設業許可を維持するために営業所ごとに常勤配置が義務付けられている技術者であり、工事の適正な施工や品質の確保に欠かせない存在です。また、一定規模以上の工事においては、監理技術者や一級建築施工管理技士などの国家資格者の配置が求められます。これらの資格者は、必要な学歴や実務経験、試験合格を通じて得られる専門的知識と技術を有しており、施工計画の立案、工程管理、安全対策など多岐にわたる役割を担います。したがって、実際に契約を結ぶ前に、常勤の専任技術者が在籍しているか、資格の証明書類を提示できるかを確認することが信頼できる業者選びに直結します。


元請・下請の役割とリスクを理解する

建築工事では、元請業者と下請業者が関与する体制が一般的です。発注者が契約を結ぶのは主に元請負人であり、元請は請負契約に基づき工事全体の管理責任を負います。一方、専門性や人手の補完を目的として、元請が工事の一部を下請け業者に再委託するケースも多く見られます。ここで重要なのが、発注者が直接やりとりを行うのは元請であるため、下請けの品質や納期の遅延に対しては、元請の管理能力が問われるという点です。また、契約内容が不明瞭な場合や責任範囲が曖昧なまま工事が進行すると、トラブルの発生リスクが高まります。そのため、元請・下請の関係性や、責任の所在が明確な請負契約を締結しているかどうかを事前に確認することが、安心して任せられる業者選びには不可欠です。



発注前に確認しておくべき注意点

複数業者との比較と資料の取り寄せ方】

建築工事一式の発注に際しては、信頼性と実力を備えた業者を選定することが重要です。そのためには、複数の業者に見積もりを依頼し、金額だけでなく工事内容、工程、対応範囲の違いを確認する必要があります。見積書の内容を照会する際には、単価や工事項目の記載方法、数量の根拠などにも注目し、曖昧な表現があれば積極的に質問する姿勢が大切です。また、請求書や注文書、契約書といった関連資料の整備状況も判断材料となります。業者の説明が一貫していなかったり、通知書や補足資料の提出に時間を要したりする場合、工事中のトラブル発生リスクが高まります。こうした観点を持ち、形式的な金額比較にとどまらず、契約前の情報収集と資料精査を徹底する考え方が求められます。


許可・実績・書類確認で失敗を防ぐ

業者選定の際には、建設業許可の有無や許可区分の確認を怠ってはいけません。特に、工事金額や工事種別に応じて、特定建設業か一般建設業かの区分が分かれるため、国土交通省の定める条件に適合しているかをチェックすることが必要です。また、実績の提示だけでなく、過去の施工記録や写真、顧客からの評価も参考になります。さらに、国家資格を保有する技術者の在籍や、専任技術者の常勤証明としての卒業証明書や被保険者証明書の写しの提示も確認事項に含まれます。これらの書類提出に対する対応の丁寧さや迅速さは、業者の信頼度や実務経験の裏付けとして有効です。こうした書類の確認を通じて、工事の安全性と確実性を確保し、発注後のトラブルを未然に防ぐ体制を構築することが肝要です。


まとめ

建築工事一式とは、建築物の施工全体を総合的に管理・実施する工事であり、計画、設計、施工、監理など多岐にわたる業務が含まれます。特定の専門工事に限定されないため、発注者にとって手間やリスクの軽減につながりやすい点が大きな利点です。一方で、建設一式工事と専門工事の違いや、業者の選定基準、許可の種類、対応範囲などを正しく理解せずに契約を進めると、思わぬトラブルを招くおそれもあります。建設業法や国土交通省の定義に基づいた区分を把握し、元請と下請の関係、専任技術者や建築施工管理技士などの配置状況、さらに実績や書類の整備状況を確認することが、業者選びの判断において極めて重要です。新築や増改築、大規模リフォームなど、工事の種類や規模に応じて、信頼できる建築工事業者と連携し、明確な請負契約を結ぶことで、安全かつ確実な施工を実現できます。建築工事一式を発注する際は、単に価格や実績だけでなく、許可の有無や資格者の配置状況、必要書類の提出可否など、総合的な観点から比較・検討を行うことが成功への近道です。




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