建築のスケルトンとは?工事の目的やメリット・デメリットをわかりやすく解説!


皆さんこんにちは。宮城県仙台市を拠点に、店舗建築や戸建て新築、マンションリノベーション等を手掛けているアート株式会社です。


戸建やマンション・店舗のリフォームで近年注目を集めているスケルトンですが、具体的にどのような工事を施工するのか、良く分からないと考えている方もいるのではないでしょうか。建築や内装の仕事で働きたいと考えている方は、スケルトンについてきちんと理解しておくことが大切です。


本記事では、スケルトン工事の目的やメリット・デメリットについて解説しますので、理解を深める参考にしてみてください。




■スケルトン工事とは?



スケルトンとは、建築用語で「構造躯体」「骨組み」などの意味であり、建物の柱・梁・躯体壁を残して骨組みだけになった状態をさします。一般的な解体では、建物の骨組みを含めて全て取り壊しますが、スケルトンを用いた解体では骨組みを残す点で大きく異なります。建物をスケルトンの状態にする内装解体工事を、スケルトン工事と呼ぶのです。


スケルトン工事と内装解体工事は、工事内容に違いがあります。スケルトン工事は、内装を全て撤去しますが、内装解体工事は間仕切りなど内装の一部を撤去・改装する工事であり、両工事で内装を撤去する範囲や目的が異なります。


また、マンションと戸建てではスケルトン工事の範囲が異なります。マンションでは、床・壁・天井にコンクリートが残っていることが一般的ですが、戸建てではこれらを全て壊して柱と梁のみにしてからリフォーム工事を開始するケースが多く見られます。




■スケルトン工事はどんな時に行われる?



解体工事ではなくスケルトン工事を選択するのには、どのようなケースがあるのでしょうか。主なケースを3つご紹介します。



・店舗の原状回復

貸店舗でお店を経営している場合、店舗を返却する際には店内に何も残っていない状態まで戻す必要があります。店舗物件の退去において、オーナーの意向で原状回復が求められる場合は、スケルトン工事が必要です。一方、設備や内装を残したまま退去する居抜き物件であれば、スケルトン工事は行わず退去します。



・間取り変更

家族構成やライフスタイルが変わったときに、家の間取りを変更したい場合にも、スケルトン工事は有効な手段です。スケルトン工事では、配線や配管の位置も変えられるため、水回りや電気配線などの場所も変更可能です。



・内外装をきれいにしたい

スケルトン工事では、間取りや水回りの改修などの内装だけでなく、外装をきれいにすることもできます。外壁塗装や屋根塗装では修復しきれない損傷があった場合、スケルトン工事により基礎部分から新しくできます。


また、建て替えるほどではないが内外装をきれいにしたい・築年数がある程度経過して雰囲気を一新したいなどといった要望でも、スケルトン工事で対応が可能です。




■スケルトン工事のメリットとデメリット



スケルトン工事には、メリットとデメリットがあるため、双方の内容を比較しながらスケルトン工事が適しているかを判断し、施工するか決める必要があります。メリットとデメリットそれぞれの内容について見ていきましょう。



<メリット>

スケルトン工事のメリットには、建て替えたのとほぼ同じように建物を新しくできる点が挙げられます。主なメリットは、以下の4つです。


・間取りやレイアウトを自由にできる

スケルトン工事により、間取りやレイアウトを自由に変更できます。先述した家族構成やライフスタイルの変更だけでなく、家事動線や生活動線に悩みがある場合も、スケルトン工事により動線を改善し、暮らしやすいマイホームを手に入れられます。


オフィス物件や店舗でも、部屋数や空間の広さを変えることで、オフィスでの作業効率が上がったり顧客に魅力のある店舗に改装できたりします。


・耐震性、断熱性を上げられる

スケルトン工事を施工すると、耐震性や断熱性の向上が期待できます。耐震ブレースと呼ばれる斜めの柱を戸建ての躯体部分に加えると、耐震性を上げられるほか、戸建て・マンションのどちらも断熱材を取り入れることで断熱効果が高められます。


旧耐震基準の建物でも、耐震設計を行いスケルトン工事によるリフォームを施工すると、新耐震基準と同様の耐震性を有することができます。耐震補強をさらに万全にしたい場合は、基礎部分にコンクリートを打ったり、金物を使って柱を補強したりする施工も可能です。


・設備を新しくできる

スケルトン工事では、内装や設備を全て取り除くため、設備を一新できるのも大きなメリットです。例えば、給排水管を全て交換すると、住宅設備の寿命を伸ばせるほか、電気配線を組み直すことでコンセントや光ケーブルジャックの数を増やせます。


ただし、マンションのスケルトンリフォームではパイプスペースの位置が変更できないため、水回りの配置の変更は困難です。


・再建築不可物件も新築のようになる

戸建て物件のなかには、接道義務を満たしていないために再建築ができない物件もあります。一方、スケルトン工事では建築確認申請が不要であり、増築を伴わないリフォームであれば施工可能です。このため、再建築不可物件であっても、スケルトン工事により新築のように内外装を新しくできます。



<デメリット>

スケルトン工事には多くのメリットがあるものの、デメリットが全くないわけではありません。主なデメリットを2つご紹介します。


・工期、費用がかかる場合がある

スケルトン工事に必要な解体作業は手壊しで行うため、重機を使って建物全体を解体する作業よりも工期が長くかかります。また、部分リフォームよりもスケルトン工事の方が工事範囲は広くなる点にも注意が必要です。スケルトン工事にかかる期間は物件ごとで大きく異なるため、施工前にしっかりと工期の予定を組むことが大切です。


スケルトン工事の期間中は仮住まいが必要となり、引っ越し費用や仮住まいの家賃などもかかります。間取りや内装の要望を取り入れると、部分リフォームよりも高額になるケースがほとんどです。さらに、工事により発生した廃棄物は産業廃棄物として処理されるため、粗大ごみよりも処分費用が高くなる点も覚えておかなくてはいけません。


場合によっては、建て替えよりもスケルトン工事の方が費用はかさんでしまう可能性もあります。建て替え後の要望や費用を照らし合わせて、建て替えとスケルトン工事のどちらが費用を抑えられるのか、しっかりと見極めることが大切です。


・構造によっては工事ができない場合がある

壁式構造になっているマンションでは、建物を壁で支えているため、壁を取り除くことができません。スケルトン工事に大幅な制限がかかるか、工事そのものを断念せざるを得ない場合もあります。


また、管理規約でリフォーム工事を制限しているマンションでは、スケルトン工事が可能か、必ず管理組合の承認を得なくてはいけません。




■まとめ



スケルトン工事は、店舗の原状回復や一般住宅の間取り変更など幅広い場面で施工される工事ですが、今回ご紹介したようにメリットとデメリットがあります。建築業界で働きたい方は、スケルトン工事についてしっかりと理解したうえで、最適な工事をお客様に提案できるように知識と経験を積んでいきましょう。




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